バンタムとスーパーパルサー、そして雷。

小学6年生の時だったと思う。
マエちゃんと夜中に高嶺小学校の前で自転車で待ち合わせて鑓水抜けて
津久井湖まで釣りに行ったんだよ。南君は起きれなくて待ち合わせ場所
に現れなかった朝マズメに間に合うようにさ。マエちゃんが乗っていた
自転車はロードマン、セミツーリングハンドルのついた僕の自転車より
早かった。
自転車のせいだと思ってたね、早いのは。

湖のほとりに自転車停めて矢口釣具店だか中村釣具店のボート乗り場近
くで釣りをしていた。
僕はダイワのグラスロッドにバンタム100、ルアーはなにをつけていたの
か思い出せない
けどたぶんバスジャッカ-かウィグルワートだと思う。
マエちゃんはウエダのスーパーパルサーにバンタム200、ラインはストレ
ーンの蛍光イエローのやつでカッコヨカッタ。
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そして朝日が昇りきるちょっと前くらいにマエちゃんが30cm位のブラック
バスを釣り上げたんだ。
ルアーはシマノのフラダイバーとかフライダイバ-とか言った奴でゲンゴロウ
のような形だった。
30cmもあるブラックバスがルアーに喰らいついたのは初めて目にした光景だ
ったし、マエちゃんのロッドが魚に引っ張られてグングンっと曲がるのを見て
興奮した僕は「すげえっ!釣れてる!」とか言った気がする。
マエちゃんは「ヘイヘイーッ! ヒット! ヒット~!」とカタカナで叫んだ。
釣り上げたブラックバスもヒットルアーもロッドもリールも黄色いラインも全
部眩しく見えた。マエちゃんの得意気な笑顔もカッコヨカッタ。
その日、三井大橋の下に移動しても僕は釣れず終いだった。
大学生っぽい偏光グラスをかけたお兄さん(魚信さんに見えた)が「こうやって
魚をおびき寄せるんだよ」とルアーの動かし方を教えてくれたけどさ、そ
の人もマエちゃんの道具を見て「いい竿だね、リールは100じゃなくて200なん
だね!」と誉めていたのが悔しかったね。

そしてバンタム200とスーパーパルサー、「カッコよくて釣れる道具」
として僕の頭にインプットされたんだよ。
帰り道、マエちゃんの青いロードマンは16号の長い登り坂も軽々と進んでいた。

中学校に入り、活発なマエちゃんはサッカーやったり、ちょっと太めのズボン履
いてやんちゃなことしてるようだった。すこしづつ疎遠になったのは僕が引っ込
みがちになったからかな。それぞれ違う成長をしていく途中だったのだろうな。
僕は2年生の時に転校したからそれっきり会うこともなかったけれど高校を卒業し
て予備校の夏期講習でばったり再会した。
少ししゃべったけれど釣りの話なんかしなかったな。
9月10日は自殺予防週間のはじまり。

1988年、雷鳴轟き大雨の降った日にいつもと変わる様子も無く家を出たマエちゃ
んがそのまま帰らなかった。大雨と雷鳴の中、高尾駅前で身を投げたらしいと後
日聞いた。
たしかそれが9月10日。
数年前に思い出したように探しまわり、手に入れたスーパーパルサーとバンタム
200いつか津久井湖で使ってみようと思いながら時々部屋でいじったりしてる。
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by fuji69fes | 2008-09-09 21:33 | ロッド
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