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脊柱管狭窄症

以前の勤め先治療院で左足の痛みとしびれでいらっしゃった患者さんの例

71歳 女性

もともと整骨院に長く通っていたが、秋口から腰の重さが増してきて足を付くと
しびれや痛みが出ることが多くなった。

整骨院では腰を揉んだり、押してもらったりしていたという。

ヘルニアや股関症、その他鑑別するための徒手検査を行ったが愁訴の憎悪は無し。

腰骨の状態を触れて確認すると前湾が少ないどころか真っ直ぐ。

腰椎の動きも悪いし、大腰筋のしなやかさも無い。
本当に整骨院に通っていたのか?というくらい動かない。
「強く押したり揉んだりしてもらって気持ちよかった」と。
ま、すべり症でもないし、強い弱いは患者さんの主観だから通っていた整骨院が
良いとか悪いとかは判断つかないが、経過として悪くなってきているというのが
腑に落ちない。

「痛みやしびれで歩けなくなることは?」と問うと「無い」と云う。

しかし、「痛むとき前かがみになると楽になる」というから「狭窄症の疑い」を
伝えておくこととし、その日は通常の治療を施す。

脈は腎虚証。下腹部に力なく、両足ともむくみがある。
寝つきは良いが早朝に目覚めてしまうようになって「年のせい」と本人は云う。

治療後足がすっきりしてきたというので早めに整形外科を受診するよう伝えた。

2週間後に再度治療依頼を受け、話を聞くとMRIの結果、狭窄症と診断が下ったと
いう。
しかし、「すぐに手術の手配をしましょう」「大病院を紹介する」と言われ驚い
たと。

肝心の痛みしびれを問うと、前回の治療の日とその後3日は調子良かったという。
「2日間は朝までぐっすり眠れた」とも。

で、手術は気が進まないし、眠れたのも嬉しかったので「前と同じ治療をしてほしい」
という。

では、と治療を開始するとむくみは左足のみで右はずいぶんすっきりしている。
腰の柔軟性は変化なし。

間歇性破行も無く、痛み・しびれもそのために眠れないというほどでもないので
手術については「ご自分で良く考えて」と伝える。

その後週に一回程度のペースで2か月治療を継続し、痛みしびれは無い日も多く、あっ
ても以前を10とすれば1~2程度。「手術は受けないでいいかと思う」と。
自宅でできる大腰筋の運動を教え、「痛みが出ない限り続けて」と伝えた。

もちろん、年齢的なことからこの先手術を受けたくなっても受けられなくなることも考
えたが、今この状態ならあえて手術は受けなくていいと決断したと。

あれから5年以上経って、駅でお会いしても「問題無いのよ~、運動を続けて足腰が前
より強くなったから旅行三昧なの」と笑顔を頂けたし、脊柱管狭窄症の程度も軽く、進
行も無かったと考えている。
なにより、本人の運動努力が素晴らしかったとも思う。
僕の治療なんて「治療」というより「自己治癒のきっかけ」に過ぎないのだ。
by fuji69fes | 2011-11-10 20:53 | 治療室より
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