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七情と五臓、こころの病とからだの病

伝統的な鍼灸治療では陰陽五行説を活用し、経絡の流れ、バランスを整えます。
このバランスを崩す、つまり病に至らしめる原因というのも東洋的な考えがありそ
の一つに「七情」というのがあります。

こころとからだ、鍼灸治療からアプローチすることができるのでは?
そう考えたのがサラリーマンだった15年ほど前でした。
そして、その考えが経絡治療に出会い確信に至ったのですけどそれは今度。

ストレスや悲しみ憂い、怒りといった感情の変動は特に生理機能に影響し、血行
を悪化させたり、神経性胃炎や、お通じの乱れ、脱毛症、不眠、倦怠感などなど、
さまざまな症状を引き起こす原因となります。

ストレス、悲しみ憂い、怒りといった言葉は人間らしさ満開ですね。
でも、それらを表に出すのを許しきれない世の中でもありますからちょっと感受性
の高い人にはちとツライ面もあります。

人間のエモーショナルな部分はなんだかロックやブルーズな感じもします。
ですが、ここは東洋医学的な観点で話を進めましょう。





七情は、怒、喜、憂、思、悲、驚、恐のことをいいます。

七情は、内臓の働きに影響を与える作用があり、およそ次のような関係となります。

怒は、五臓の「肝」を傷め、逆に「肝」の働きが鬱滞すると怒りやすくなります。
「ストレス」といわれるのはは「肝」と深いつながりを持ちます。
不眠・イライラ・肩が上がらない・ぎっくり腰・目の症状・頭痛などけっこう肝の乱れ
が目立つ方がいます。
冷え逆上せとか、とにかく頭から湯気でそうなほど気が上っていたり。

喜は、本来は良い情緒状態ですが、度が過ぎると心臓や脳を表す五臓の「心」の
変調を起こします。過剰な喜びは集中力を低下させ、不眠や動悸、失神などを呼
び起こわけです。コンサート会場で失神したりするアレです。喜びすぎて不安感を
訴える場合もあります。
僕は小学生の時初めてブラックバスが釣れた時に足がガクガク、手がワナワナと
震えました。


思いは、心配の意味を含みます。消化器系(五臓の「脾」)を傷めやすく、度が過ぎ
ると、食欲不振などが現れます。あの人に嫌われたらどうしよう?なんて思うとご飯
が喉を通らなくなったりしませんか?
お腹が空きすぎでも眠れないし、失恋でも眠れないなど、「脾」の不眠も当然ありま
す。結構、鬱の人は「肝」か「脾」の人が多いです。

悲しみ憂いは、呼吸器系(五臓の「肺」)を傷めます。
鼻や喉、また皮膚といった呼吸器系への症状が出やすいです。
気を沈めてしまうのでため息・意気消沈といったことになります。
昔の小説などには嘆き悲しんで労咳になった美人とか出てきたみたいです。
嘆くのが好きな古い作家に結核が多かったのも・・・?

ストレスと特に関係が深い臓は、五臓のうちの「肝」と「腎」といわれます。


「肝」は血を貯して、その血を浄化し栄養し、その血を用いて、脳、目、筋肉、爪を養
い、身体のあらゆる生理機能に必要な栄養を供給するという作用が考えられていま
した。

精神的なストレスが異常に強いと、脳は酷使されます。その脳の活動を支える「肝」
は大量のきれいで栄養のある血液を脳に送り続けなければならず、それがオーバー
ヒート状態に陥るようになると、脳の活動が悪くなり、思考や判断が狂うようになります。
これがストレスに負けた状態で、イライラして怒りやすく、あるいは落ち込み、不眠など
の精神神経の不安定な症状があらわれてきます。


ちなみにパソコンやTV、ゲーム他目を酷使しても同様です。
体内で一番多く血を必要とするのは目なんですね。
脳はその次です。


「腎」は生命エナジーの源といっても良いでしょう。
腎は親から受けついだ先天の精・元気を宿し、食事から得られる後天の精にてそれ
を維持発展させて人間としての成長を司ります。

腎虚となると、「アンニュイ」といった感じの状態になったり、めまいや動悸、息切れ、
排尿障害などが出たりと、老いを感じるようになるのです。
でも、最近は若い人でも腎虚の人が割と多く見られます。おどおどしたり、びくびくし
たり不安感が強いのは腎の気が少なくなっているようです。


これら二つに加えたいのが「脾」です。
脾は運化作用(水穀を消化し、後天の精や津液、血・営衛などを吸収して全身に送
る作用)。
消化・吸収。昇清(運化で吸収したものを上の肺に送る作用)作用。
などなどの働きがあります。
胃腸機能(脾臓や膵臓も)全般と考えると近いかもしれません。
この機能が落ちると肺に影響が出たり、血糖値に影響したり、体のあちこちの栄養
配分にかかわるので脾は五臓の中でも中央に位置するものです。

食事をして栄養が上手に摂取出来なければ他の臓を養うこともできませんからね。

でも、飽食の時代にあってこの脾が虚している人も多いのです。
偏った食生活、早喰い、大喰い、そんな脾を傷める行為で他の臓器に影響を与え
ストレスに弱くなりうつ・自律神経失調・更年期・女性特有の症状に陥っている人も
多いなあとこの数年感じてます。
ですから内臓下垂になっていたりすると、パフォーマンスは落ちています。
胃下垂・内臓下垂を元の位置に戻すべく治療と生活改善をスタートすべきです。




肝心脾肺腎は互いに補い、抑制しあう関係でバランスを保っているのですが、七情
(ストレス)が肝心脾肺腎の調子に影響を与え、バランスを崩します。

怒り→腰痛

思い・心配→胃の痛み



そのバランスを鍼灸で整えると逆の現象がおこってストレス・偏った七情に対する感
受性がラクになったりします。

肝の治療→腰痛が楽に→怒りに対処できる自分を取り戻す→眠れるようになる→体
の回復力が増す→良い生活習慣の獲得

脾の治療→胃腸の不具合が和らぐ、食欲が出る→効率良い栄養の獲得・体内の滋養
→思い・心配に対して対処できる気力が沸く→元気な生活へ

腎の治療→足腰の弱さ、冷え、むくみ、早い目覚め、水太りが和らぐ→衰えへの不安
が和らぐ→びくびく恐れることがなくなった→若々しい生活への回帰

ツボを刺激して内臓が調子よくなったりすることを体性-内臓反射といったりするので
すが、その先にはツボへの刺激で体内の環境を整え、こころの調子を整えることが
できたりするわけです。

まあ、難しいことは専門書にいくらでも書いてますからもっと知りたいという方はご連絡
ください。

治療を受けてみようという方はお近くの鍼灸院へ問い合わせてみましょう。

もちろん、

しんうらやす整骨院「こころとからだの治療室」部門

および、

藤井はりきゅう治療室でも随時治療を受け付けています。


by fuji69fes | 2010-05-24 01:45 | 治療室より
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