脾虚
今年は猛暑が過ぎた10月でも高気圧の張り出しが大きく、台風も多くなるらしいので脾虚のことを書きます。
脾虚 ≒ 五臓のうちの脾の気が虚となった状態 脾の気とは口から飲食を取り入れ、消火吸収して排泄する、つまり体をつくり、動かすための一連の生命活動といっても良いでしょう。 食欲が無くなるのも脾虚ですが、やたらたくさん食べてしまうのも脾虚だったりします。 脾虚にも種類がいろいろあって、筋肉がひきつる、こる、頭痛がする、眠れない、朝起きれない、皮膚のトラブル、口内炎やヘルペス、腰痛、腎臓疾患、浮腫むなども脾虚によって起こることがあります。 脾の気は様々な経絡へ波及しますので症状もいろいろです。 飲食は健康の基本ですので当然といえば当然ですね。 これが虚する、つまり落ち込むといろいろなことが起きます。 脾の気も陰陽ふたつにわけることができ、陰の気(冷やす、固める気)が虚となると、熱が発生します。 一つの物体から熱や固まる作用が虚するので残るのは「熱」、「浮く」気だからです。 陰陽って面白いですね。 その熱がもともと熱が盛んな陽に属する胃や腸の「陽気」によって経に熱を押しだし始めると肺経と胃、または腎経に熱が攻め入ることになります。(脾虚陽明経実熱証) この状態の方は関節痛や午後になると熱が出てくる、痛むなどがあります。膝関節 やリウマチの痛みが湿気の多い時期に悪化している場合などはこの脾虚陽明経実熱 証かもしれません。 この熱が胃と肺経に入り込むと胃が痛んだり、乾いた咳がでたりします。 腎経に入ると腎臓疾患になったりします。 他にも 脾虚胃実熱証 体質としてもともと胃の熱が多く、大食らいで下痢するとスッキリするタイプ、手足に力があるので行動的・眠らなくて大丈夫・いびきをかく、高血圧・お酒を飲んで服を脱いでしまう、と一見パワフルに見えるタイプの方がこの証に当てはまります。躁鬱もこの証ですのでもしかすると堕ち込みやすいかもしれませんね。 脾虚胃虚熱証 発熱・手足もしくは全体の倦怠感・関節痛・呑酸・胸やけ・胃痛・下痢・便秘頭痛・頭重・目眩・ 皮膚疾患・腎臓から膀胱などの泌尿器疾患・腰痛・痔・喘息などかなり辛い症状の方が目立ちます。 以上を脾虚熱証といいますが、脾虚には冷えて元気がなくなる脾虚寒証というものあります。 胃腸が弱いタイプと自覚している人はこちらかもしれません。 目眩・顔面痛・低血圧・手足も全身も冷える・冷たい飲み物が苦手・手足に力が無い・全身だるい・食が細い・胃の調子が悪くて肩がこる・嘔吐・下痢などがこの証に関連しています。 先に述べた脾虚熱証に肝の実熱が加わる脾虚肝実証というのがあります。 当治療室の患者さんは脾虚証と肝虚証の方が多いのですが、脾虚のなかでもこの脾虚肝実証がなぜか多いです。 脾虚熱証の方は話声も大きめで時に話を聞いているとオーバーだなあ、なんて感じなの ですが、脾虚肝実証の方は物言いが静か、もしくは気鬱といいますか・・治療効果が出てくるまではよろしくない話しぶりです。 脾虚肝実証(於血) 於血というのは過去のケガ、手術、内臓疾患や長期に渡る服薬、内因で起こる肝経に残った血の状態のこと。 この於血があると肝の発生作用(血を必要に応じて分配する、のびのびとする)を弱め気鬱になることがおおくなります。胃潰瘍や心身症・不眠など神経症的な状態もおこります。 血はすべての経絡に必要に応じて分配されるのですがそれが滞るので全身にいろいろな症状を起こすことがあります。不定愁訴といわれる症状もこの於血が原因の方も多いのです。 触診でチェックすると脇の下が硬い、下腹部を押すと痛い、硬い抵抗がある、体の筋肉のあちこちにコリコリとした塊があるなんて方がこの証であることが多いです。 頭痛・便秘がち・怒りたくとも我慢する・気鬱で性欲減退・胃潰瘍・肩甲骨の内側から首にかけて凝る・冷えのぼせ・しみそばかすなど多くなる・筋肉のひきつりや凝り などが脾虚肝実(於血)の方に多くみられます。 ややこしいでしょうけど、症状名や病名で治療をするのではなく、その方の(その時の)証を治療していくのが東洋医学の治療法であり養生法です。 あなたの今のタイプを見立てて身体全体のバランスをまんまる~い状態へ導くお手伝いをするのが当治療室の全身調整です。 服薬が長い、ストレス状態に置かれている、昔怪我をした(尾てい骨を強打したなんて方も多いです)など身体の中が滞っている方は生活習慣の見直しと定期的な全身調整で今までより元気な生活を送っていただけると思います。 最後に脾虚肝実熱証というのもありましたので付け加えておきます。 (最近診た腎炎の女性がこのタイプでした。) 女性だと生理中に熱が出る、もしくは熱が出ると生理が始まる。 口が苦い おしっこが黄色い 吐き気がある、もしくは吐いてしまう 耳の症状 目の症状 頭痛 首筋が凝る 腰痛(筋肉通) 膝の関節や手の関節が痛む 腎臓疾患(腎炎)膀胱炎 咳 肺炎 お問い合わせはお気軽にどうぞ。
by fuji69fes
| 2013-10-04 01:29
| 治療室より
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