血液検査でうつ診断

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今朝の新聞記事にありました。


血中のリン酸の濃度を調べて、うつ病か否か迅速に診断できるようになる。


そう書いてある。


そして、今までの「うつ」との診断はほとんど経験則で診断されていると。


また、

現在うつ病で病院にかかっている人は治療が必要とされる総数の四分の一なので、
この血液検査でもっと多くの「治療を必要とする人」の早期発見に役立つだろうと…。


喜んでよいのか、少々複雑な気分になる記事。
新聞というのは結構書きっぱなし。
最近は自社で出している週刊誌に似通ってきているから宣伝記事かもしれない…なんて
思うのは穿った考えかもしれないが。

僕の知る限り、医師の元での診断は血液検査をした上で臨床医の経験則に基づいて
うつ病や神経症など診断されてきたのは確かだし、医師の経験則で診断も異なります。
病院を変えると診断名が変わり、薬も変わったりする。これは悪いことともいえない。
改善された患者さんが多くいるし、相性というのはとても大切。

医師によって治療法も薬の種類も変わる。
これも救われる可能性が他医によって見つかる可能性がありセカンドオピニオン、サ
ードオピニオンと有益なことも多々ある。

それでも良くならない人がたくさんいて、今回の診断技術によってエビデンスに基づ
いた診断が可能になる、よって効果的な治療も可能になると期待したくなるかもしれ
ない。


だけど…と例によってヒトコトどころかアレコレ・ツベコベ言いたくなってきた。





治療薬がこの20年、いやもっと前から「新しくなった」「今度の薬には期待できる」
と出続け、認可され、市場に出てきたが、つまりは診断に根拠ないまま薬が開発され
てきたということ。

では投薬治療の根拠はなんだっのか?認可の根拠は?と考えてみたりする。

昨年、「今回お出しする薬は素晴らしいんです。新薬です。なにせ臨床ではじめてプ
ラセボ群との比較で優位性が認められた薬ですから」と医師から説明された患者さん
がいました。

プラセボ群、つまり偽薬を投与したケースと新薬を投与したケースで新薬を投与した
ケースの方に効果が認められたという説明。

では、それまでの薬は偽薬との差が認められなかったということなのか・・・・?

その患者さんも、家族も今までの治療はなんだったのかと思ったらしい。

うつ病というのはそれくらいハッキリしない病でもあるというしかない。


なんだか、悪いイメージばかり膨らんでしまったけれど僕としては今回の血液検査の
記事に「ほっとした」面もある。

それは、血液でうつを診断するということに患者さんの視点が向くと考えるからである。

これは東洋医学の健康観に共通しそうだから、病を理解し救われる患者さんが増える
のではないかと思うのだ。

東洋医学において

「気」 「血」 「津(液)」

これらの状態に良くないところがあると不調となる。
「血」というのはわかりやすく言うと血液と置き換えて構わない。
血液はからだの隅々まで栄養と酸素を運ぶ。
筋肉も、脳神経も、視神経も、肌も、血液を必要とする。
髪の毛に血液は流れないが毛根への血行不良は抜け毛につながる。
肌の状態の良しあしも血液が左右する。組織という組織は血液が必要。
気は酸素、血液によって運ばれる。
津(液)は水分のこと。血液の液でもあるし、細胞液でもある、リンパ
も液。体内外の潤いであり、血流に連動している。

この血の状態がうつ病などメンタル系の病に大きく関わってくる。

それを現代の医療技術でも診断基準として採用している、特にリン酸の値に注目してい
るということらしい。
ずいぶん細かいような気もするが、うつ病の患者さんの血液成分を細かく測定していく
とそうなるのだという。
科学的に根拠のある一つのデータが認めれたのだからこれはこれで喜ばしいと思う。

しかし、いままでも、こころの持ち様だとか、脳内物質だとか、細かいことに着目しす
ぎていたのではないだろうか?
確かに間違ってはいないけど木を見て森を見ず、もっと患者さんがどういった生活をし
ているのか、その生活習慣に問題はなかったのかを見つけようとする治療が提唱されて
いないように思うし、されていても一部の先生であってなかなか患者さんに届いていな
い。

「脳内物質を選択的に取り込むんですよ」というすばらしい薬があるが、脳内物質を作る
わけではない。脳内物質は飲食(食事)から作られ体内を巡る。

体内に足りないものをいくら道順はこっちですよと誘導しても絶対量が足りなければ意味
が無いだろうに。



このブログで時々メンタルの病の患者さん、その多くは肝虚証、もしくは脾虚証が多い
と述べてきた。

肝虚証も脾虚証も血の病につながっている。


血虚 瘀血 

といったことばもネットで調べれば分かりやすく、解説されているサイトが見つかる時
代だ。「わかりやすく」なので厳密さに欠ける部分はあるが専門家でなければそのほう
が理解しやすいと思う。

このブログでも患者さんへの説明でも大雑把にイメージが伝われば…。



肝の気が虚してくると体内の血液の配分がアンバランスになっているようなことが多い。
例えば頭や目、手先を使いすぎてその使っている部位に血が集まりすぎ、足は冷えてい
る…そんなバランスの悪さ。

そのため、健康なら処理できる情報量に対応しきれずに感受性も偏りパニックに陥る人
も少ないくない。
小さな音にも敏感になり、うるさく感じたり、ささいなことにもイライラしたりして疲
労し消耗し、回復力もなくなってしまう。
健康な人でも根をつめて勉強したり、育児家事をしたり、仕事に勤しんだりした時に感
じるアレだ。
血液が行き届かす、もしくは血液の状態がわるく、対応する器官がしっかり働かない。
休むか栄養を補給するか、ペースを落とすか、状況に応じた対処が必要だが自らコントロ
ールできなくなっている(体内もしくは外部環境のせい)。



脾の気は飲食からエネルギーを取り出し、体内にめぐらせる。また、不要物は排泄する力
を持つがその脾の気が虚してくると良いものを食べてもエネルギーを取り入れることがで
きなかったり、不要物を排泄できなかったりして効率が悪くなる。
体内の環境を維持する大本が乱れているので「血」「気」「津」も十分に作られず内部環
境が崩れ、外部環境に応じる力もなくなる。


肝 心 脾 肺 腎 といった五臓の気のバランスの調和を健康とする概念は専門的過
ぎて現代の常識ではなかなか馴染めないかもしれないし、陰陽とか、五行だとかいわれ
ると占いとかまじないのように感じてしまうかもしれない。

しかし、西洋の言葉や現代の言葉に置き換えることのできない歯がゆさはあるものの非
常に理にかなった身体観が東洋医学には認められる。
骨を神聖化する西洋的身体観にはなじまないが、排除されるべきではない人類の英知
である。
昨今の医学部においても東洋医学が必須となったが、細分化が進みすぎた現代医学中
心の医学界では東洋医学が本当の意味で認知されていくのにずいぶん長い時間を要す
るだろう。
それはそれで仕方ない。
しかし、そういった大きな枠組みとは別に世間での認知は加速度的に進んでいるし、見
直され、受け入れられている。

僕たち東洋医学に携わる者も最新の医学について理解を深め相互補完できるようもっと
努力しなければならないと思う。


閑話休題


体内の血についての説明をもう少し。

血虚(血液が足りない)
瘀血(血液の状態が良くない)

筋肉にも神経にもエネルギーである血液が届かない血虚、

巡っている血液の状態が良くない(瘀血)ために筋肉・神経がしっかり働かないためこ
ころもからだも調子が悪い、

そんなバランスの大きな崩れと思ってもらいたい。

血(血液)の状態の悪さがメンタル系の病気につながっている。

言いかえれば、体内環境を整えれば、特に血液をしっかりとしたものにしてあげれば筋
肉(内臓も筋肉なのですよ)神経も健康になる。

東洋医学は随証療法と言われる

証(からだのバランスを崩している状態のパターン、肝虚証とか肺虚証とかパターン別
に○○証と名が付く)がわかれば即治療につながるといった治療パターンが確立されて
いる。

鍼灸治療とは「何々に効くツボに刺激する治療」ではなく、「○○という証に従ったツボの
組み合わせでバランスを整える治療」ということになる。腰痛や手のしびれ、ヘルニア
といった運動器、神経疾患においても証に従って全身の調整・治療をする。

そして、ツボの刺激でできることにも限りがあって、飲食や休養、運動、その他生活習
慣や生活環境を整えることと併せて治療としている。

食生活
睡眠力(睡眠は回復力です)
運動(動物としての最低限の運動であって息を切らすような激しいスポーツという意味
ではありません)

これらのバランスを整えていけば血液の状態も変わり、体内環境が変化し、脳内物質
もホルモンバランスも良い状態になっていく。

くどいようだが、投薬したからといって脳内伝達物質がたちどころに変わる?

脳内伝達物質の原料はアミノ酸(タンパク質)だったり、そういったものをしっかり働か
せるにはビタミンなどの無機質だったり、飲食から作られるのだから食事をおろそかに
せず、その食事を消化吸収しやすい摂取方法(咀嚼・暴飲暴食・不摂生に気をつける)
を身につけ、からだの偏った使い方(運動しない、もしくは激しく消耗する)を改め、回復
力につながる休養(適切な睡眠)を確保する。

東洋医学(鍼灸や漢方)に携わる治療家はこれらを出来るように患者さんを導く治療を
施し、治療とともに生活指導をしている。

ネットで うつ 神経症 パニック障害 鍼灸 

などと検索すればきっとそう遠くない場所にも治療をしてくれる治療院が見つかるはず。
それだけ、メンタル系の治療対して鍼灸は効力を有している。

体内の血流改善、血液の状態をその人が持つ最良の状態に近づけるためにご自分の
生活習慣を見直すとともに、その助けとなる治療院にめぐりあってもらいたいものです。
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by fuji69fes | 2011-05-21 22:33 | 治療室より
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