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こころの病気、誤診、薬漬けからの回復

長くうつを患った患者さん、自律神経失調に苦しんだ患者さん、神経症と言われて
薬でどうにか対応してきた患者さん、そんな方達が当治療室へいらっしゃって治療
を続けてみて、元気になっていかれるといつも嬉しく思いますし、自分のやってい
ることに自信を持てて、なにより僕が元気を貰えます。

しかし、なぜ患者さん達がこんな状態になってしまったのかを考えると少しやりき
れない気持にもなります。
題に誤診と書いてしまいましたが、症状からみて診断基準に当てはまれば先に述
べたような心の病の診断を出すことも誤りではないでしょうし、投薬やその他治療
も意味が無いわけでもありません。
カウンセリングの併用で良くなる方も多いでしょう。

いろんなことが起きる世の中ですから、リストラ、裏切り、事故など不幸なことに
直面し、原因がハッキリしている人は投薬で落ち着かせながらその間になんとか自
分を持ち直し、元の生活に戻ったり、考え直して方向修正したり、と次の道へ行く
こともできるかもしれません。
カウンセリングも、家族や友人や職場など周囲のバックアップも大切ですね。

でも、もともと辛いなにかがあって、それに対応しなければならない労力・ストレ
スは当人にとって蓄積したエネルギーを使い果たすような一大事であることも多く、
イライラ、八つ当たり、自分をひたすら攻め続けたり、パニックになったり、エネ
ルギ-を使い果たしてしまい引きこもったり、とにかく何もすることができなくなっ
てしまったり、挙句の果てには病院にも期待できなくなったりします。
ご家族やパートナーもどうにもならなくて参ってしまっている事も多く見受けられ
ます。










東洋医学では現代医学の病名を伺いはしますが、それよりも身体症状、日常生活、
その他について伺いながら、独特な「証を立てる」という診断法にて各人の体調の
タイプ分けをおこない、その「証」に従った治療、随証療法を行います。

脈やお腹、顔色や肌のきめ、その他古くからの先人達の知恵から学んだ診断点を細
かくチェックし、それによって証が決まるとようやく治療を開始します。


360以上、いや正穴だけでなく様々な奇穴、特効穴も数えると1000以上ともいわれ
るツボのなかから刺激するツボを組み合わせを導き出します。

鍼を用いるか灸を用いるかを考え、

身体のどの場所を温めるか、それとも冷やすか、

そして日常生活において何を食べて貰うか、何を食べてはいけないのか、

運動してもらうのか、安静にしてもらうべきか、

朝はどうしてもらい、昼はどう過ごしてもらい、夜はどうやって休んでもらうか

etc

各人の調子は様々でこれだけすれば大丈夫ということはなかなかありません。

食べる量を減らせば良い、とか、運動すれば良いとか、一般的に言われたりし
ますがそれで治る人、また、それができる人はそこそこ力があった人でしょう。
(当治療室でも初診時にタイプ判断し、入浴指導、運動指示ですぐ良くなった
方も少なくありません)

証については
肝虚証・脾虚証・腎虚証・肺虚証などがあり、それぞれの証についても寒・熱
に分けたり、組み合わせて脾虚肝実証と証を決定したりしますが、当治療室に
いらっしゃるこころの不調の方達は基本的に肝虚証か脾虚証の方が多いです。

それには東洋医学の蔵象(生理学的なもの)を知るとよくわかるのですが、患
者さんにお伝えするのはそういう専門的なことだけではなく、日常生活におい
て何をするか、どう対応していくかです。

これをお互いに相談し、トライ、時にはエラー、修正を行いながらそれぞれの
パターンを見つけ快方に導くことが今のところ僕の仕事となっています。

「元気の素、差し上げます」と言うと偉そうですが、お辛い方、ご家族やパー
トナーの方、一緒に頑張っていきましょう。何かお力になれると思っています。
by fuji69fes | 2011-02-09 17:16 | 治療室より
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